報われない恋の物語。

午後から聴いたジャズのCDは、ブルーノート1509番は「ミルト・ジャクソン」。 


 <リーダーにはなりたくなかった。楽器は何でもこなせた。ギター、ヴァイオリン、ピアノ、ドラムス、ティンバニ、ザイロフォン、ヴァイブ。故郷デトロイトにいたころは、エヴァンゲリスト・シンガーズというゴスペル・グループで歌っていた。だが、リーダーにだけはなりたくなかった。
 「だって、あれこれ責任を負わなくちゃならないだろ? 私は面倒なことが大嫌いな性分なんだ」 (「超ブルーノート入門」中山康樹)>


 このアルバムは名曲揃いだが、その中でも一番の聴きどころはやはり一曲目の「リリー」だ。「永遠のメロディー、永遠の演奏」(寺島靖国)という評価が決してオーバーではないことを教えてくれる。 

 「泣かない女はいない」(長嶋有)の帯にはこう書かれている。


<ごめんねといってはいけないと思った。「ごめんね」 でも、いってしまった。>


 そして、その帯の裏には角田光代さんの次のような讃辞が。

 『触れあうような、触れあいそこねたような、触れあいすぎたような、人  と人との関係。なんていい小説なんだろう。』


 この人の小説を初めて読んだ時(「サイドカーに犬」)、うかつにもてっきり女性だと思い込んでしまった。この本で長嶋さんの作品が初めてだという人は、多分私と同じ感想を持つ人が少なくないはずだ。これは片思いの物語である。それも最後まで告白しないで終わる報われない恋の物語だ。読み終わったあと、この帯の「ごめんね」という言葉がじんわりと心に染み透ってくる。角田さんに倣って私も言おう。「なんていい小説なんだろう」

 

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